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〜sideラシル〜
「精霊王の配下になりましたが、ノアの狩りはどうなんでしょう」
「俺の配下であれば、ノアは狩ったりしないよ。それと、二人とも配下になったんだから、普通に喋ってくれる?」
ノクトとロイドは、いつも敬語だからいいけど、他はやめてほしい。聞いてるこっちが疲れてくるんだよ。
「わ、分かった……それじゃあ、俺は発情しない魔術具でも───」
「父上、それよりも避妊の方をお願いします。父上と母上は大丈夫でも、俺とロイドは違います。さすがに、ノアに避妊の命令はさせたくありません」
ノクトとロイドが本当にそれでいいなら、俺がやってあげてもいいけど……アルマなら作れそうかな。魔術具なら、外せばいいだけだろうし、問題が解決すればノクトとロイドも、子作りができる。
「……確かにな。ただ、ノクトとロイドはノアから命令された方がいいんじゃないか? 元々つくる気ないだろ。今回の俺とシノの事で、ノアはあまりいい思い出がないはずだ」
確かに、ノアにはいい思い出がないかもなぁ。ノクトの気持ちも分からなくはないけど……それにしても、アルマがちゃんと意見するのは珍しい。いつもなら何も言わないか、ノアには何もさせないかだったけど。
「ノクト、俺もノアに頼むべきだと思うよ。ノアは、自分の望み通りになるって知っちゃったからね。これまで以上に教えてあげて、そのうえでノアがどうしたいのかを自分で考えるのも、ノアには必要だと思う」
アストもアルマの意見に賛成なようで、アストに言われてしまえば、ノクトはそれがノアにとっては一番良い事だと知っている。自分がアストに育てられたからこそ、アストへの信頼は揺るがないのだ。
「兄上が言うなら……分かった。ロイド、ノアが起きたら、一緒にノアに頼んでみよう」
「そうですね。その時は、兄様とアスト様にも付き添ってもらいましょう」
そうして、俺とノアだけを残して、他の全員が部屋を出て行くと、ノアはギメルの手がなくなった事が気にくわなかったのか、少しすると大きな欠伸をしながら体を伸ばし、完全に目が覚めてしまった。
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