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(世界樹のツガイ)
「ノア、ごめんね。体辛いでしょ」
ラシルは僕が起きてすぐに、僕の体の心配をしてきた。
「大丈夫! 気持ち良かったから、またしてほしい」
「本当に、ノアは可愛いね。嫉妬で発情したとか……恥ずかしすぎる」
ラシルが僕を抱きしめると、マミーが呆れた様子でため息を吐く。
「はぁ……もうツガイ候補でもなくなってる。天使だろうが悪魔だろうが、パピーはラシルのツガイだ」
「それでも、転生したツガイ候補が、天使にもいるとは思わなかったよ。俺が天界に行った途端に、ノアの匂いにつられて出てくるとか……普通に嫌でしょ。魂の転生なんて、世界樹は記録してないし、記憶があるかどうかだって、本人が心の中で思ってるだけなら、世界樹は記録できない」
「それでも、ノアに嫉妬むき出しの発情をするのはどうかな」
「いや、それは本当に悪いと思ってるよ。だから、後半はノアを気持ち良くさせようとね……可愛かった」
ラシルは再び僕を抱きしめてスリスリとしてくるため、僕も元の姿に戻って尻尾を揺らし、ラシルの胸に頭をグリグリと押し付けた。
「それにしても、エルフの王になる為に、ロイドが苦戦してるようだ。手は貸さないの?」
「エルフに関しては、ロイドが頑張るらしい。ノクトとツガイになった事と、ノアに狩られた事で、いい方に向かってるからね。必ずエルフの王になるよ」
「エルフに王が誕生して、エルフがパピーの味方になれば、良くも悪くも世界が変わる」
「世界樹は中立であるべきだけど……俺はノアにとっていい方を選ぶかもしれない。天界か霊界か……正直、世界樹としてはどっちでも問題はないよ」
霊界? 霊界ってなんだろう。新しい場所?
「ただ、ベトが気になるところではあるね。不安要素はそこだよ」
「パピーがラシルから離れる事は考えられないから、最悪の場合はギメルと同じようにするしかな───」
「は? 無理だって。アレフ、何言ってんの」
ラシル? 怒ってる。何したの? マミーに嫌な事言われちゃったの?
「キュ、キュン(マミー、ラシル怒ってる)」
「分かってるよ。ボクが意地悪を言ったんだ」
「キュン!(意地悪だめ!)」
「そうだね。ごめん、ラシル」
ラシルの顔を覗くと、ラシルはなんだかよく分からない表情をしていて、マミーは楽しそうにラシルを見ていた。
「いや、アレフは正しいよ。最悪の場合って言ってたしね。ノア、アレフは意地悪してないよ」
「キュ? キュ、キュゥ(そうなの? マミー、ごめんなさい)」
「パピーは悪くないよ。でも、謝れるのは偉いね。パピーはいい子だ」
「キュァア!」
僕、いい子! やったあ!
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