(世界樹のツガイ)

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 マミーは僕の頭を撫でてくれ、そのまま顎の下の、僕の好きな場所を撫でてくれる。 「あとは匂いかな。アレフは俺の匂いと違うみたいだけど、それは繋がりを切ったから?」 「そうだろうね。ボクは、パピーに会う前に繋がりを切ったから。ただ、ギメルは進化条件として、ラシルが奪ったものだから、匂いは残ってるんだと思う。返す事ができるからね」 「それで言ったら、アレフも戻そうと思えば戻せるでしょ」 「うん。でもボクはそれをしない。ボクの匂いには、パピーも惹かれてるだろうけど、ボクはパピーの母さんがいいんだ……絶対に。あの時の、親離れができないパピーは、二度と見たくない。それに、結果的にパピーは、ボクに依存してくれてる」  僕、マミーの匂い好きだよ! 安心するの! 一番はラシルだけど、マミーの匂いも大好き! 「ベトの匂いを消して、ノアに会わせないようにするしかないか」 「もしくは、向こうからノアのそばにいれるならって言うかもしれないよ。霊界なら、あいつがいる可能性もある。魔神としてなら一番目……だからベトは───」 「まさか……メルツ?」  ラシルはものすごく驚いた表情をし、僕を力強く抱きしめる。そんなラシルの様子を見て、マミーはラシルの腕に手を置いた。 「ラシル、これはボクの予想でしかない。ただ、三番目の神であるメルツが死んで霊界へ行き、魔神になったのなら、一番目の魔神になっててもおかしくない。そして、ボクが一番目のツガイ候補なら、二番目の候補は必然的にメルツになる……と思ってる」 「メルツがベトで、世界樹をひっくり返したいと思ってるなら……あぁ、全部の辻褄が合うね。メルツの本当の目的は……フェーブルアール」 「ボクは、メルツがベトだとしたら、黒幕はベトじゃないと思ってるよ。霊界は本当に分からないけど、それでもメルツなら、パピーのそばにいたいだけの可能性がある。メルツは……ボクと同じで、世界樹のツガイを優先するはずだから……やっぱりベトが黒幕だとは思えない」 「メルツに……ベトに訊く必要がある。ノアも連れて……魔界か天界、どっちが先の方がいいと思う?」  魔界! 僕も魔界に行けるの? 魔界にはギメルもよく行くって言ってた! 「キュン!(魔界行く!)」 「……パピーが決めたのなら、そっちの方がいいよ。天界はボクに任せて。パピーが選んだって言えば、天界の奴らは何もできないからね。ただ、フェーブルアールの方は鎖に繋いであるけど、いつどうなるか分からないから、早めに帰ってきてほしい」 「じゃあ、ノアが行きたい方に行こう。魔界まで行けば、霊界に近づけるからね。ノアを信じてメルツを優先する」  また霊界だ! 魔界に行ったら霊界にも行けるの? 僕も霊界に行きたい!  その後、ラシルがアス兄さんとギメルを呼ぶと、二人は慌ただしく準備を始め、ルカも状況を説明する為に屋敷の方に向かった。
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