(世界樹のツガイ)

4/12
161人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
〜sideアレフ〜 「アレフ、教えてくれてありがとう。ノアのおかげで、フェーブルアールも含めて天界は焼けて、天使や神が堕ちてきた。天界が……なくなる」  それは凄いね。大惨事だ。ボクは別に、天界がなくなってもいいけど……これから忙しくなるね。 「ボクはここに住ませてもらうよ。天界は必要ない。パピーがそう望んだんだ。実際、ツガイであるラシルは喜んでるでしょ。これは、繁栄の一歩になるはずだよ」  今までの望みとは、規模が違いすぎる。これが、世界樹のツガイだ。パピーとラシルの絆が強くなればなるほど、パピーとラシルは二人で世界を繁栄する事ができる。 「……そうだね。世界樹は、花を咲かせるほど喜んでるよ。天使が地に堕ち、フェーブルアールも含めた神々が消えていく。霊界に吸い込まれるように」  ラシルも喜んでいるように見えるのは、ボクだけではないだろう。世界樹の喜びは、世界全体に伝わる。だからこそ、天界の消失は世界樹の怒りだと、皆が思うだろう。 「ラシル嬉しい? 僕も嬉しい! ラシル、ラシル、リャンが喜んでる! みんな喜んでる!」  パピーは、皆の喜びを感じとれるのか、手を広げながらラシルの周りを走り回って、尻尾を振って喜んでいる。これほどまで、パピーが喜ぶのは初めてではないかというほど、獣人になったりキツネの姿になったりと、楽しそうに走り回っていて、さすがに心配になったのか、ギメルとアストがパピーを捕まえようとする。しかし、パピーは捕まらず、ラシルがパピーを呼んだ事で、漸く落ち着いた。 「ノア、落ち着いた?」 「うん! 僕、ラシルが喜ぶ事したい! 嬉しくて楽しい!」  ッ……パピー、まさか発情してる? 「ラシル、パピーの匂いが……」 「うん、発情してるね。でも、これは少し違う。可愛い誘いだけど、俺に喜んでほしいって思って、匂いが出ちゃってるだけだね。ギメル、辛いならノアのそばに来ていいよ。アレフも、たぶん近くに来た方が楽だと思う」  ギメルはボクよりも辛いのか、狩られた獲物のように呼吸が乱れている。しかし、パピーの尻尾にすり寄ると、不思議と落ち着きはじめたため、ボクもパピーに近寄って頭を撫でれば、パピーに触れてた部分から魔力が流れてきて、あっという間に楽になった。そんなボク達の様子を、アストはやたらと嬉しそうに見つめていた。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!