(魔界)

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(魔界)

 スッキリして目が覚めると、僕は元の姿でラシルの膝の上にいた。 「キュッ……キュアァ」 「おはよう、ノア。気持ち良さそうに伸びたね」 「キュン! キュン!(ラシル! ラシル!)」  僕は体を伸ばしてラシルの周りを走り、肩に乗って首を噛むと、ラシルは頭を撫でてくる。 「体は大丈夫そうだね。良かった」  僕元気だよ! ちゃんと走り回れる! 獣人の姿にだってなっても大丈夫だよ! 「ラシル! 大好き!」  僕が獣人になってラシルに抱きつくと、ラシルは自分の咬み痕を触り、優しく抱きしめてくれた。 「俺も愛してるよ、ノア」  嬉しい、嬉しい! 僕、ラシルのもの! ラシルも僕のもの! ギメルも僕のもの! 「ラシル、ギメルどこ?」 「ギメルは魔界でノアが来るのを待ってるよ」  僕のこと待ってるの? 一緒に行くんじゃないの? 「ノア、魔界に行きたいでしょ? 今すぐに行く?」 「うん、行きたい!」 「よし、じゃあアストとリャンだけ連れて行こうか」  そうして、僕達はギメルの元へと向かったが、ラシルは直接ギメルの元へ移動してしまったため、魔界を見る事はできず、耳と尻尾が自然と下がってしまった。 「ノア? 元気ないな。大丈夫か?」 「キュン!(ギメル!)」  ギメルに話しかけられた事で、ギメルの方に意識が向いた僕は、すぐにギメルの肩に乗って、尻尾を振った。 「ノアは街に行きたかったんだよ。あとで行こうね」 「キュァア(やったあ!)」  ラシル、ちゃんと分かってくれてた! 嬉しい、嬉しい! 「キュン?(ギメルも来る?)」 「あぁ、行こうか。というか、ノアが魔界に来たら、あとは俺も一緒に帰るしな」  そうなの? ギメル、やっと帰れるんだ。 「キュ、キュン。キュウゥ(魔物、寂しがってた。僕も寂しかった)」 「知ってる。ごめんな。その代わり、魔界は安全にしたから楽しんでくれ」  それから僕達が街に出ると、黒い翼と尻尾の生えた悪魔や、ギメルのようなツノの生えた悪魔などがいて、尻尾を振って近づき、挨拶をしていけば、みんなが僕の獲物になってく。
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