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休み明け。
会社に行くと、新人の配属先が決まったとかで、朝からみんなワイワイと噂話に花を咲かせていた。
「ほら、あの1番美人の城之内サキちゃん?あの子受付志望だったのに、結局、営業補佐らしいですよ?可哀想に…利用されるんでしょうね……」
部下の田中真亜子(タナカマアコ)が、透に言ってきた。
「ふうん、で?うちは誰?」
透は営業での活躍を評価され、今は花形の広報部、部長だ。
「それがですねー!なんと神崎くんが!」
きゃーと田中は、小さく悲鳴をあげる。
「え?そうなのか?」
そう言えば辞令が出ていたが、バタバタして確認していなかった。
「そうなんですよー、やっぱり広報って会社の窓口でもあるし、華が要りますもんねえ」
田中は、自慢のストレートの黒髪をサラリと手ですいてみせる。
「そっか、そりゃあ……」
大変だ、と透は心の中で思う。透と付き合っているなどと神崎が言ったら大騒ぎになるだろう。
けれど神崎の言うところの『平和的解決』のためには、公表しなければ意味がない。
まさか自分のアドバイスに自分が苦しめられるとは…
透は朝から、どうしたもんかと頭を抱えてしまった。
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