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その日の帰り、透は久しぶりに百貨店に寄り道し、エイジングケアに役立ちそうな化粧品を探すことにした。
最近は、メイクをする男性も増えていて、メンズの基礎化粧品も豊富に揃っている。
服装はともかく肌だけは少しでも若くなりたい。
「エ?、40歳なんですか?とても見えないです!お若いですよね」
などと言う化粧部員に乗せられて肌の水分量を測って貰うことにした。
「あー、でもやっぱり乾燥してますね、こちらの美容液でしたら肌の表面だけでなく、真皮にまで届くのでオススメですよ」
などと説明され、五千円近くする美容液を購入してしまった。
神崎の隣に並んで歩く、というだけで、これまで怠惰にしていたことにも力が入る。
なんだかんだと言いながら、この状況は自分にとってプラスなのではないだろうか。
透は少し気を取り直し、ついでに次の休みに美容院で白髪染めをネット予約し、帰路についた。
一人暮らしの部屋に帰り、いつもは脱いでほったらかしにするスーツをきちんとハンガーに掛ける。
よくドラマなんかで、彼氏が急に汚部屋に来て焦る、なんていうのがあるけれど、あれはかなりのダメージだと思う。
普段から片付ける習慣をつけよう、と透は心を入れ替えた。
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