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シャワーに入ってからお肌のケアをしてみた。買ったばかりの美容液も使ってみたが、なかなか浸透が良い。 こちらも百貨店で買ってきた焼き鳥をアテにビールを飲んでいると、スマートフォンが震えた。 神崎からメッセージが入っている。 『透さん、どうして先に帰っちゃったんですか? 一緒に帰りたかったのに』 これ以上目立つことをして、職場で浮きたくない。 透としては、神崎と付き合うのはいいにしても、さりげなく日常に組み込む程度にしたい。 職場で恋愛沙汰を起こしたり、恋人が出来て急にはしゃぎだす人達をこれまで何度も目にして、みっともないと思っていた。 『あー、ごめん。じゃあ明日は、会社の外で待ち合わせしよう』 と返信をした。 『わかりました』 しょぼくれた犬のスタンプが押されていて、透はフフ、と笑う。 神崎がしょぼんとしている顔が浮かび、八歳下の弟の小さい頃を思い出した。 今は、結婚してお父さんになっているが、昔は透にひっついてきては色々やらかして怒られていた。 (ま、弟よりだいぶん下だけど) 改めて考えると、17歳も違う。 けれど、まあ家族に紹介するような関係にはならないだろうと透は軽く考えた。 あくまでも会社での『平和』のためなのだ。 透は、浮かれないように気をつけよう、と気持ちを引締めた。
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