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店に到着し、中に入った途端、神崎がどこにいるのかすぐに分かった。 どこのどいつか知らないが、神崎を真ん中にして若い女の子達が二人で取り合うように神崎の腕に手を巻きつけている。 (なんなんだ!コイツらは!) 透はイラっとしたが、待たせたのはこちらだし、落ち着いたフリで神崎に近づいた。 「ごめんな、お待たせ」 透が声をかけると「あ!透さん!やっと来た!」と神崎は、弾けるように立ち上がった。もう酔っているのか頬が少し赤い。 「ええー、いっちゃうのお?おじさんも一緒でもいいからみんなで飲もうよぉ」 女の子達が、神崎のスーツの袖やら裾やらを引っ張っている。 「ダメだよ、ごめんね。ここからは、オトナの時間だから」 神崎が、女の子達にウィンクをすると、ふたりは、ぽおーっと頬を染めた。 なんだか分からないが、透はまた変な優越感にかられ、怒っていたことを忘れてしまった。 「悪かったな、仕事が終わらなくて」 別の席に移り、神崎に謝った。 「いいんです。好きな人を待つ時間って至福でしょ?透さんが来てくれるって思ったらずっと幸せでした。けど、あの子達が声掛けてきたんで、仕方なく相手してたんですよ」 仕方なく、という言葉を聞いて透は、またほくそ笑む。 なんだかいつの間にか神崎の手中で操られているみたいだった。
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