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4
コーヒーの香りで、目が覚めた。
頭が痛いけれど、やけに寝心地は良い。
「透さん、起きてください。朝ですよ」
髪を優しく撫でられ、チュッと額にキスをされる。
目を開けると、あまりに綺麗な顔が目の前にあって「うーわっ」と声をあげてしまった。
「シャワー入って目を覚ましてくださいね。朝食出来てますから」
神崎は、そう言って透のシャツのボタンを外し始める。
「自分でする!自分で!」と幼稚園児のように抵抗しながら、転がるようにベッドから降り、案内されてサニタリーに向かった。
「あ、とりあえずこのシャツ着てくださいね、サイズ少し大きいかもしれないけど」
新品の下着とシャツを渡され「あ、ありがとう」と頭を下げた。
カッターシャツを脱いでいると、神崎がいつまでも見ているので「おい、出てけよ」と文句を言った。
「残念」と神崎は笑いながら、サニタリーから出て行く。
「全くどういうつもりだ」
透は、ブツブツ言いながら、服を脱ぎ、風呂に入った。
「うわ!広っ」
透の部屋の風呂の三倍はありそうな浴槽と金ピカのシャワーヘッド。
さすがに朝なので、湯は張っていないが、浸かったらかなり気持ちが良さそうだ。
いいなあ……と思いながら、熱いシャワーをザッと出した。
「透さーん」
ドアの向こうで神崎が声を掛けてきた。
シャワーを止め「なんだ?」と聞くと、神崎がいきなりドアを開けた。
「わ、なんだよ」
「わー、やっぱりいい身体ですね」
タオルも何もなく、全部見られてしまい、透は少し傷つく。
こんなオッサンの身体のどこがいい身体なんだ。
「なんだよ、からかってんのか?」
ヤケクソになって、透は聞いた。
「そんなわけないです!タオルここに置きますね」
神崎は、ニコリと笑ってまたドアを閉める。
色々辱められている気持ちだった。
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