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「久しぶりだよなあ!同期会」
待ち合わせの店に井坂はもう到着していて、もう既にビール腹にビールを流し込んでいる。気の置けない仲間との飲み会は、やはり透とてリラックスできた。
「お前、また頭、寂しくなってない?ストレス?」
透が井坂の頭部をチラッと見ると「そうなんだよぅー!聞いてくれるか?!畑中!」と井坂は、泣きそうな顔をした。
今年の新入社員がめちゃくちゃ自分の権利を主張してきて……と、井坂は薄くなった頭を抱えて言った。
「あー、あの子でしょ?村井まどか」
「そうそう、K大法学部卒らしいけど、やっぱり頭のいい女って使い憎いわ、正直」
「頭良くても要領のいい子もいるけどね。あの子は融通効かなそう……。それで、ウチくらいにしか採用にならなかったのかもねえ」
ハハハ……と東堂が笑った。
「それに比べてうちの部は、ねえ?」
東堂が透を見る。
「そうだな、神崎は仕事も出来るし、性格もいいし、それに……」
透が神崎を褒めると「ベタ惚れじゃん!」と東堂にバシン!と背中を叩かれた。
「ま、まあな。みんな好きだろ?神崎のことは」
透は、あくまでも一般論として言う。
「そうなんだけどさあ」
東堂が声を潜めて言った。
さっきの続きか、と透は黙ってハイボールを飲む。
神崎に関することなら今は、なんでも知りたいと思った。
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