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東堂と二人でフロアに入っていくと、いつもの様に神崎を囲んでみんながワイワイ話している。 昨日までは少しイラっとしたが、今日は、全く気持ちが違っている。神崎の望む平和な世界。それが、きっとここにはあるのだ。神崎は、それを守りたいのだ、きっと。 透は、遠目に神崎の笑顔を見ながら、結婚もしていないのに親のような気持ちになる。 「いやあねー、ジジイみたいな顔で見守っちゃって」 東堂がそう言って、コーヒーを持ってきてくれた。 「あ、どうも」 ペコリと頭を下げる。 「あいつさ、本当の自分、隠してんだろうな、ずっと」 東堂に小さく言った。 「まあ、それは皆そうじゃない?なかなか本音なんて言えないよ」 東堂が言う。 「でもさ、アイツの場合は、それが産まれた時からそうだから、きっと自分でも気がついてないんじゃないかな、と」 「あー、それはあるかもね」 本当の神崎。それはどんな人間なんだろうか? 透は、初めて心から他人のことを知りたいと思った。
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