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「ごめんな、神崎。俺、神崎の平和、壊しちまった……」
「大丈夫です。あれは平和なんかじゃなかったって分かりました。平和のフリをした地獄だったのかもしれません」
神崎は、下を向いて辛そうに唇を噛んだ。
「あ、それより提案って何だったんですか?」
神崎は、顔を上げて透を見た。
「あーそれはさ」
東堂と神崎の母親がきっと気が合うと思った、と透は言った。
「二人が友達になれたらいいなあって勝手に思ったんだよ」
「なるほど!確かに東堂さんなら合いそうですね。媚びたりしないし」
「だろ?」
せっかくの思いつきも台無しになってしまい、透はガックリと肩を落とす。
「でも、嬉しかったです。僕の為に嫌な役を引き受けてくれて」
神崎は嬉しそうに笑って、透の手を取った。
「もう、大丈夫です。母親もこれで少し僕から離れてくれると思います」
「だといいんだけど」
神崎は、そのまま透を抱きしめてチュッとキスをしてきた。
「ん……」
二人で深く唇を合わせる。
少しモヤモヤした気持ちだったけれど、神崎とのキスに夢中になり、どうでもよくなってくる。
「虐めましょうか?」
神崎が顔を上げて聞いてきた。
「え?!」
「好きなんでしょう? 虐められるの」
神崎は口角を上げて笑う。
「あ……はい……」
「じゃあベッドに行くよ、透」
手を取られて立ち上がる。
色々思うことはあれど、これだけはハッキリしていた。
(神崎にいたぶられたい)
少し乱暴に押し倒されて、透は、もう勃ってきてしまった。
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