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しばらく眠っていたようだった。
目が覚めると、色々な液体は綺麗に拭き取られ、やからかく肌触りのよい毛布に包まれている。
「透さん、どうでした?良かったですか?」
神崎が綺麗な顔で透を覗き込み、長く美しい指で、透の髪を梳いている。
「あ……神崎……」
思わず手を伸ばすと、優しくキスをしてくれる。
幸せとは、こういうことを言うのだなと、透は、ぼんやりした頭で考えた。
「せっかく髪型、かっこよかったのに、崩れちゃいましたねえ」
そう言って神崎は、透の額にチュッと口付ける。
「あのさ、神崎」
「はい?」
「さっきのが本当のオマエなの?」
そう尋ねると神崎は、ニッコリと綺麗に笑って言った。
「さあ、どうでしょう?」
神崎という男を知れば知るほど分からなくなる。けれど、もう夢中になってしまったことは確かだった。
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