7

2/7
前へ
/62ページ
次へ
しばらく眠っていたようだった。 目が覚めると、色々な液体は綺麗に拭き取られ、やからかく肌触りのよい毛布に包まれている。 「透さん、どうでした?良かったですか?」 神崎が綺麗な顔で透を覗き込み、長く美しい指で、透の髪を梳いている。 「あ……神崎……」 思わず手を伸ばすと、優しくキスをしてくれる。 幸せとは、こういうことを言うのだなと、透は、ぼんやりした頭で考えた。 「せっかく髪型、かっこよかったのに、崩れちゃいましたねえ」 そう言って神崎は、透の額にチュッと口付ける。 「あのさ、神崎」 「はい?」 「さっきのが本当のオマエなの?」 そう尋ねると神崎は、ニッコリと綺麗に笑って言った。 「さあ、どうでしょう?」 神崎という男を知れば知るほど分からなくなる。けれど、もう夢中になってしまったことは確かだった。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

230人が本棚に入れています
本棚に追加