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澤井と別れてからなんとなく始めたゲイ専用の出会い系アプリで、少し若めの男と会い、身体だけ満たして別れることを繰り返すようになってしまった。
こんなことを続けても虚しいと分かっているけれど、やはり枯れてしまうのは嫌だ。
「彼氏になってくれませんか?」
帰りの電車の中で、神崎の言葉を思い出した。
それって身体も満たしてくれるんだろうか?それともあくまでもカモフラージュだろうか?
出会い系アプリは、そろそろ限界の年齢かもしれないと感じていたので、神崎の提案に乗ってみるのもいいか、と透は思い始めていた。
電車の窓に映る自分の疲れた顔をぼんやりと眺める。神崎の隣に並んだらきっと保護者にしかみえない。
─ 髪色とかもっと明るくしたほうがいいだろうか?服装も……?と考えかけてやめた。
若作りは、かえって老けてみえると聞いたことがある。
仕方ない、このままの自分で勝負だ!と終電近い電車の中で、訳の分からない誓いを立てた。
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