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「お前も、俺を殺した罪でここに来たんだよ!
しかも、女を使って暴力団の組長も殺したと聞いたぞ!
だから、此処に来たんだよ」
と、野崎は勝ち誇る様な顔で私を見ている。
……野崎の様な人間を殺したから、この場所に来ただと?
こんな人間は、ゴキブリと同じだ!何匹殺しても悪くもないだろう……と、この時は想っていた。
(だが、私の考えは間違っている事を、後で気付かされるのだが。)
「それに、お前なんで死んだんだ?誰かに殺されたのか?」
……私は麗華に殴られたのだ。サイボーグの力で殴られては、生きてはおれない。あの時、私は絶命したのだった。
だが、私は死んだ事を認識する事を、簡単には出来なかった。
何故なら、生前の時と何ら変わる事ない状態であるからだ。
違うのは、何も食べないし、排泄も無い。
そして、身体の存在は無く魂だけで動いている。
その様な状態でありながら、生前の記憶を持ち存在している。…
私は野崎の質問に答える事はしなかった。
麗華に入っている脳は、野崎の脳であり、殴られたのはサイボーグ麗華だが、その指示を出したのは、野崎の脳である。
私を殺したのは、間違いなく野崎だ!
私は野崎から離れて行った。
「おい、お前ちょっと待てよ!」
と、野崎は呼んでいるが、私はその言葉に従わずゆっくりと
野崎から離れていった。
虚しさを抱えながら。
ここでの暮らしは、退屈な毎日であった。
何もすることも無く、ただ、瞑想し生前の行いを見つめ直して
どの様に生きるのが最善か考える事を要求されている。
私には、反省することなど何も無い!
私の行動は、間違いってはいない!
どれくらいの時間が過ぎたのだろうか?
ある日、看守が私の元に来た。
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