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第2話
私と誠君で、サークルに向かった。
先輩の名前は、モーション先輩だ。
誠君の片思いの相手。
誠君は惚れっぽくて、すぐにいろいろな女性を好きになり、兄の勇気にとられる。
でも、まあ、また失敗に終わることは目に見えている。
私が誠君を好きなら、告白すればいいだけかもしれないけど、誠君には最悪の人がいる。
嫉妬深い姉の唄さんは、だれかが幸せが成就することが気に入らなくて、恋人がいる人や、異性から人気がある人を見つけては、攻撃をする。
それに、兄の勇気さんも、弟に好きな人がいるということも黙ってられないらしくて、すぐに自分の物にしては、妊娠が判明したら、姿を消すことの繰り返し。
「誠君、モーション先輩にも迷惑がかかるよ・・・」
「それでも、好きになった人のことを全力で守りたいから・・・・」
「え?」
誠君、その言葉は私だけに向けてほしかった。
いくつもの女性を好きになっては、かっこいい言葉を使う。
だけど、それを素直に歓迎できない自分がいる。
誠君が大切にするのは、私だけでいいなんてわがままかな?
「モーション先輩、おはようございます」
「ああ、おはよう、まこっち」
「まこっち!?」
「そう、実は僕は先輩からあだ名で呼ばれているの」
誠君は、嬉しそうだけど、私だって、まこっちで呼びたいよ。
最初は「井藤君」と苗字でしか呼べなかったけど、頑張って「誠君」と下の名前で呼べるようになれたの。
モーション先輩は、スタイルもよくて、髪が長い。
私ももう少し細ければ、髪も長ければいいのかな?
私は失恋をきっかけに、ショートカットにしたけれど、誠君はすぐに別れた。
もちろん、誠君が別れた理由なんて、勇気さんにとられたからだけどね。
「あかねも、ちゃんと挨拶して」
「お・・・・おはようございます」
「おはよう、たしかあかねちゃんだっけ?」
「はい、そうです。
これから、よろしくね」
モーション先輩の笑顔・・・・すごく素敵。
同じ女性同士でも、惚れ惚れしちゃう。
「モーション先輩、この笑顔、すごく素敵です」
誠君が言ったけれど、私の嫉妬が胸の中で湧き上がることが自分でもわかったけど、多分、誠君にもモーション先輩にも、その気持ちは伝わっていない。
「そんなことないですよ。
それより、まこっちは、あかねちゃんのことをもう少し、気にかけた方がいいんじゃない?」
「どういうことですか?」
「さあ、どういうことだろうね」
モーション先輩は、私にウィンクした。
もしかして、モーション先輩は私の気持ちに気づいてくれた?
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