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「姉ちゃん……これって、母さん特製カレー?」
口を震わせている桂と涙をポタポタ落としている雅之を見て、咲乃はほっと胸を撫で下ろした。
「良かった。桂もお父さんも……また、お母さんに会えたんだね」
このカレーライスを食べて目を閉じると、瞼の裏に母のエプロン姿、映画を見ながら泣いている顔や、叱ってくれた時の怒った顔、そして優しく抱きしめてくれた時の笑顔が蘇ってくる。
カレーライスの中に思い出が溶け込んでいるかのように、一口一口噛み締めるたびに母との楽しかった日常の思い出がはっきりと脳裏に蘇ってくる。
また母に会える魔法をかけてくれるこのカレーライスには、やっぱり魔法がかかっていたんだ。
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