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咲ちゃん
そんな桜も散り切った土曜日、万年床から目が覚めたばっかの私に高校の頃の親友、咲ちゃんから電話が来た。これから行っていいか、だって。お昼ご飯、買って持っていくと。
かくして私の部屋にやってきた久しぶりの咲ちゃん。
長い髪の麗しい女子、手に籐で編んだ手提げバスケットを持っている。おお、お昼御飯ってそれ?ピクニック?サンドイッチかしら。なんか、がんばった女の子風だよ。惚れちゃうよ。
「ね、ね。咲ちゃん、そんなに頑張んなくても、お弁当」
「え?」
床に置いたバスケットをゆび指して話す私に、咲ちゃん、きょとんとしている。きょとんとしたまま咲ちゃん、テーブルの前にぺたんと座ると。
「あ。ああ。ご飯はこっちだよ。食べよ」
って手の中のコンビニ袋の中から、から揚げ弁当とハンバーグ弁当を取り出した。普通のご飯だった。
「どっちにする?」
「え?あ。じゃあ、から揚げ弁当」
「はい」
「ありがと」
「気になるよね。バスケット」
「ん?うん」
「ふふ」
「何が入ってるの?」
「知りたい?」
「食べ物じゃないとしたら何?わざわざ持ってきたんだよね」
「うん。もしかして、まみ、欲しいかなあ?って思ってさ」
「え?何よ」
「ふふ」
「え?」
「たまちゃん、だよ」
「たまちゃん?」
「そ」
「捕まえたの?」
「はい。二体」
「え」
「一体あげる」
「ほんと?」
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