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 ラブホテルは覚えていないほど、久しぶりだった。ハルヒコが気を利かせ、ラブホテルまでは少し距離を空けて歩き、ホテルの入口にも時間差で入った。  部屋は淫靡(いんび)な雰囲気ではなく、シティホテルのような清潔感があり、大きなベッドとソファと、大きなヨギボーが置いてある。 「これ、座ってみたかったの!」  美春がヨギボーにどさっと身体をあずけると、「ハハ、子どもみたい」とハルヒコが笑った。こうした無邪気なやりとりも久しぶりで、若いころに戻ったようだった。  ハルヒコがシャワーの間に、美春はビールを開けた。一本なら家に帰るころには顔の赤みも引いているはずだ。飲みながら、まだ気持ちは揺れていた。  美春もシャワーを済ませ、身体にバスタオルを巻いて部屋に戻ると、ハルヒコはベッドに横になリ、ビールを飲んでいた。 「ハルミさんて、ほんとスタイルいいですね。旦那さんが羨ましいス」 「え、そんなことないよ。重力には勝てません」 「あの……バスタオル、取ってもらえませんか?」 「え? それは……恥ずかしいでしょ」  ハルヒコがベッドの照明のパネルを操作し、部屋を真っ暗にする。足元だけをほんのりと青い灯りが包んでいる。 「これで大丈夫でしょ?」  美春はためらいながらバスタオルをはらりと落とし、全裸になった。するとハルヒコがパネルを操作し、部屋が昼間のように明るくなる。 「コラ!」  咄嗟(とっさ)に両手で隠すと、ハルヒコはゆっくりとベッドを降りて、美春に歩み寄ってきた。
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