魔王専属秘書はやり直したい

11/21
前へ
/21ページ
次へ
◇◇◇◇◇ 「今日もたくさんレベルあがったッスね!」 あれから2週間後の魔物狩りの帰り道。 というかここ最近、ラナはずっとこの3人と一緒に活動している。もうパーティーの一員としてすっかり馴染んでいるみたいだ。 道中ソーヤは自分のレベルやステータスを確認できるカードをぱぁぁと見つめながら歩いていた。 「…………ソーヤも大分実力を上げたな」 「そーそー!剣さばきも速くなってたし!」 クルクスとアズも同様にカードを持ちながら歩いている。 「いや………でも、やっぱラナには勝てねぇッスよ」 ソーヤは上にかざしていたカードをスッと下ろし、隣を歩いていたラナにそう言った。 「え?いや、私は………」 「もう、いい加減認めたらどう?今日のラナも動きが速すぎて全然追いつけなかったんですけど!」 否定するラナを遮って、アズがこのこの~とつついてきた。 ラナは満更でもない様子だが。 「…………なぁ、腹減ったし、このまま飯食いにいかね?」 クルクスがそう提案する。 確かに午前いっぱい魔物狩りに勤しんでいたため、腹が減った。 ぐるるると、アズがちょうどいいタイミングでお腹を鳴らす。 「さんせーい!私、中心部のとこにある酒屋のお肉食べたいなぁ~!」 「おい、ちょっと待て。今日はラナのおすすめのとこ行ってみないか?」 はいはいと手を上げるアズに、クルクスはそう言った。 「え」と、ラナは一瞬戸惑う。 「ほら、今まで俺達のオススメしか行ってないし、たまにはお前の好みくらい教えろよ」 クルクスは優しく微笑みながらラナを見た。 アズとソーヤも納得したみたいで、ラナにオススメの店はあるかと聞いてきた。 ラナは気遣いをしてくれたことが嬉しくて、一番最初に行った明るい店主がいる酒屋を紹介しようとした。 「じゃあ───────」 ビリッッ それは突然起こった。 ラナは目を見開き、状況が飲み込めずにいた。気配を感じる。 背中を奮い立たせるような、おぞましい気配。今まで何度も感じたあの気配。 忘れたかった、忘れたと思っていた………。 魔王ゲルテ───────
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加