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◇◇◇◇◇
「今日もたくさんレベルあがったッスね!」
あれから2週間後の魔物狩りの帰り道。
というかここ最近、ラナはずっとこの3人と一緒に活動している。もうパーティーの一員としてすっかり馴染んでいるみたいだ。
道中ソーヤは自分のレベルやステータスを確認できるカードをぱぁぁと見つめながら歩いていた。
「…………ソーヤも大分実力を上げたな」
「そーそー!剣さばきも速くなってたし!」
クルクスとアズも同様にカードを持ちながら歩いている。
「いや………でも、やっぱラナには勝てねぇッスよ」
ソーヤは上にかざしていたカードをスッと下ろし、隣を歩いていたラナにそう言った。
「え?いや、私は………」
「もう、いい加減認めたらどう?今日のラナも動きが速すぎて全然追いつけなかったんですけど!」
否定するラナを遮って、アズがこのこの~とつついてきた。
ラナは満更でもない様子だが。
「…………なぁ、腹減ったし、このまま飯食いにいかね?」
クルクスがそう提案する。
確かに午前いっぱい魔物狩りに勤しんでいたため、腹が減った。
ぐるるると、アズがちょうどいいタイミングでお腹を鳴らす。
「さんせーい!私、中心部のとこにある酒屋のお肉食べたいなぁ~!」
「おい、ちょっと待て。今日はラナのおすすめのとこ行ってみないか?」
はいはいと手を上げるアズに、クルクスはそう言った。
「え」と、ラナは一瞬戸惑う。
「ほら、今まで俺達のオススメしか行ってないし、たまにはお前の好みくらい教えろよ」
クルクスは優しく微笑みながらラナを見た。
アズとソーヤも納得したみたいで、ラナにオススメの店はあるかと聞いてきた。
ラナは気遣いをしてくれたことが嬉しくて、一番最初に行った明るい店主がいる酒屋を紹介しようとした。
「じゃあ───────」
ビリッッ
それは突然起こった。
ラナは目を見開き、状況が飲み込めずにいた。気配を感じる。
背中を奮い立たせるような、おぞましい気配。今まで何度も感じたあの気配。
忘れたかった、忘れたと思っていた………。
魔王ゲルテ───────
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