魔王専属秘書はやり直したい

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「…………………っ」 反抗したかったが、その通りなので何も言えない。いや、恐怖しか感じなくて口を開くことも出来ない。 本当に、何を気取っているのだろう。 自分は抜け出したにしろ、魔王専属秘書。 魔王の支配計画に関わった時点で、善人になどなれるわけがない。 「「「ラナッ!!!」」」 聞きなれた声が耳に入った。 広場に駆け寄ってきたのは、アズ、クルクス、ソーヤだった。 いきなりいなくなった自分を心配して、追いかけてきてくれたのだろう。 「みんな……………」 「ちょっと、いきなりどうしたの………って、そいつは何!?」 「おいっ、何かあるなら言え!」 「ラナっ、何かあったっスか!?」 そんな3人の優しさがラナの心を抉る。 こんな邪悪な自分のために……………。 この3人だけは、決して守らなければいけない。自分にとっての大切な人達だから。 「なんだ、そこの塵達は。どういう関係だ?ラナゲイル」 「3人共、離れて。」 ラナはゲルテの質問に答えず、酷く優しい声で3人にそう言った。 「えっ、でも─────」 「お願い、貴方達だけは…………死んでほしくないの」 ラナはとても真剣な表情をしていた。 3人だけに見えるような体勢で視線を向ける。表情で全てが読み取れた。 ────────守りたい。 3人はそれにおされ、心配しながら後ずさっていった。 「話は済んだか?まぁ、いずれこの町は支配する。関係あるまい」 やはり、ゲルテはここが魔王軍の支配地ではないことに気がついていたのだ。 私を連れ返すついでに。 自分が情けない。私がここに来なければこの町は何もされずに済んだのに。 いや、そもそも私は魔王城を抜け出した時点で、どこぞで野垂れ死ねば良かったかもしれない─────── でも、今はそんなことを考えている暇はない。私は、命を懸けてここを守らなくてはならないのだ。 「さぁ、ラナゲイル。用は済んだな?早く準備を───────」 『ブラックナイツ!』 ラナはゲルテの言葉を遮り、突然に攻撃を仕掛けた。 ゲルテも想定外だったのだろう。目を見開いている。 そんなゲルテの元に、ラナの放ったナイフの先端部分のような形をした闇の魔法が無数に飛びかかってきた。 「ほう、本気で帰るつもりはないのだな。まぁいい、お前ごときが刃向かえると思うな。」
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