魔王専属秘書はやり直したい

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「今度こそ、話はついたか?全く、小賢しい真似を。まぁいい、先にラナゲイルから殺ってやる。お前らは後だ。」 氷のように冷たい表情でゲルテはラナを見た。既にアズがかけた弱体化魔法は切れているようだ。元に戻っている。 「貴方には、誰一人殺させません」 そんな中、ラナはキッパリと言った。 一瞬ゲルテが顔をしかめる。 「この期に及んでまだそんなことをぬかすか。私に一太刀も振るえなかったお前が何を言う」 自分はやはり守らなくてはならないのだ。 この町を、あの3人を。 ラナは詠唱を始めた。 「なっ、お前、一体何を──────!」 ゲルテがたじろぐ中ラナは詠唱を止めない。 守れ。 こんな自分を受け入れてくれた町を。 自分に生きる価値を与えてくれた者を。 仲間だと、言ってくれた者を。 私は自由に生きていいと教えてくれた者を。 守れ! ドガァッッ!! ラナが詠唱を終えた瞬間、ゲルテ達のいた広場の真ん中に突如、巨大な稲妻が(ほとばし)った。轟音は町中に響き渡り、周りにいたアズ達はその威力に逆らえずにひっくり返った。 ゲルテはラナを掴んでいた手を抵抗出来ず離し、バッと下がる。 「ラナゲイル!お前………!こんな力を隠していたのか………!」 ゲルテは今の稲妻に驚愕し、ラナに向かって叫んだ。 「ハハハハハハッッ!やはりお前は最終兵器だったのだ!変更!ラナゲイルを連れ戻せ!」 ゲルテは高笑いをしながらそう言って、自身の手から大量の魔王軍兵士を召還させた。 その数は広場を埋めつくし、それぞれがラナが先ほど召還させた闇のエネルギーが溜まっている漆黒の剣を手にしている。 普段のラナでもこの大群には勝てないが、ラナは無表情のまま言った。 『ブラックナイツ・セイバー!』 能力を発動させた瞬間、ラナの何倍も大きい漆黒の剣が現れ、それを操り一太刀振るったら、そこにいた兵士全員が戦闘不能となった。
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