魔王専属秘書はやり直したい

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◇◇◇◇◇ 魔王ゲルテに止めを刺したラナは、その場にしばらく立っていた。 もう囚われるものは何も無い。 しかし、自分にこんな能力が存在してたとは、少し驚いてしまう。 あの稲妻や大きな剣。普通のラナには到底出すことは出来ない。 これも、あの3人のおかげかもしれない。 「ラナ~っ!大丈夫!?」 広場の真ん中に立っていたラナに、アズ達が駆け寄ってきた。 「3人共……………」 「いやぁ、ラナ、超絶かっこよかったッスね!」 「お前、あんなすごい能力隠してたのかよ」 来た途端先ほどのラナの行動が称賛される。 隠してたといっても、自分も知らなかったが。 ラナは「あっ」と、3人に言わなければならないことを思い出した。 「その………3人共。途中で、助太刀に入ってくれてありがとう。あの時、みんながああ言ってくれなければ、私はもう諦めてた。 本当にありがとう」 ラナはそう言った。元魔王専属秘書とは思えない、宝石のような、美しい笑顔だった。 「私も、ラナがあの変な人に連れ去られなくて、よかったよ」 と、アズが優しい声でそう言った。 クルクスとソーヤも、同じように頷いた。 「………………ありがとう」 ラナが再び礼を言うと、クルクスがそうだ、と思い出したように言った。 「あの………げ、るて?って奴、結局なんだったんだ?」 クルクスがそう言うと、他二人も気になっていたようで、ラナに質問を投げ掛けた。 ああそうだ、これも言おうと思っていたのだ。 「あの、実は私っ、…………魔王専属秘書の、ラナゲ」 「魔王って、新手の魔物か?」 ラナが勇気を出して自分の正体を明かそうとした瞬間、クルクスが意味の分からない発言をした。 「………………え?」 思わず間抜けな声が出てしまう。 「あっ、そうそう。それ私も思ってたんだよねぇ、ほら、変異種的な!」 「ゴブリンの変異種とかッスか!?」 あ、あれ? 何で、王国中を支配している魔王のことを、知らないんだ? 確かに、誰なのとは言っていたが、いくら支配されていないガルナシティの住民でも分かるとは思っていたが───── 様子からして、魔王ゲルテのことも、魔王軍のことすら知らないようだった。 「それで、その、魔王専属秘書?ってのは、何なんスか?」 明るい声で聞いてくるソーヤに、ラナは微笑んだ。 「……………やっぱり、何でもない!」
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