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◇◇◇◇◇
「ねぇラナ、本当に町を出ちゃうの?」
ガルナシティの門の前。
そこには、荷物をまとめた出発直前のラナが立っていた。
門の前には大勢の人が集まっていて、一番前にはアズ、クルクス、ソーヤの3人がいる。
そう、ラナはガルナシティを出ることにした。
本来、魔王ゲルテは倒したのでこの前のようなことにはならないが、ゲルテがいない今でもまだ魔王軍は大勢残っている。
本当はアズ達とパーティーを続けようと思ったが、またこの町に自分のせいで被害を出すわけにはいかないのだ。
「うん、ごめんね。私………やっぱり隣の国に行く」
ラナは寂しげにそう言った。
3人も寂しそうで、アズはなんなら結構前から大泣きしている。
「おい、嬢ちゃん!この前は守ってくれてありがとうな!」
すると、ラナの耳に明るい声が聞こえた。
声の主はあの酒屋の元気な店主。
ニカッと笑いながらそう言うと、他の住民達も次々にそうお礼を言った。
「また腹減ったらいつでも来いよ!」
そんな声が周りに響いた。
「ラナぁ!またね………っ、元気でねぇ!」
「いつでも戻ってきていいんだぞ」
「また会おうッス!俺らは離れてもずっと仲間ッスよ!」
アズは泣きじゃくりながら、クルクスは優しく、ソーヤは元気たっぷりに。
ラナに別れの言葉を告げた。
ああ、普通って、なんて素晴らしいものなのだろう。
いつかこのガルナシティみたいに、世界が平和になったらいいな。
ありがとう。私にたくさんのことを教えてくれたみんな。
「うん!みんな、またね!」
ラナはとびっきりの笑顔でそう言った。
門の外に一歩足を踏み出す。
まだまだいろんなことがありそうだけど、大丈夫。
きっと、今の私なら。
ラナゲイル────いや、ラナは、希望ある明日のために、道を歩き出した。
もう、何も怖くない。
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