魔王専属秘書はやり直したい

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「まいど─────って、ちょっと!お嬢ちゃん!」 店主はカウンターに置かれた代金を見るなり、ラナゲイルを慌てて引き止めた。 「は、はい……?何でしょうか」 「お金!これ、多すぎだよ!あの料理にこんなに金を置いてかなくてもいいよ!」 店主が引き止めた理由は、どうやら払った代金が多すぎたらしい。 ラナゲイルはそれを聞いて首をかしげる。 「しかし……あの絶品料理にはこれくらいの額が相応だと思うのですが………」 「褒めてくれてるのはすげェありがたいんだが、こんなに受け取るわけにはいかない。ほれ、余りの分。」 店主はすぐにそう言って、余った分をラナゲイルによこした。 「お、お優しいのですね………!ありがとうございます!この恩は必ず……!」 ラナゲイルは受け取ったお金をしみじみと見つめながら、店主に礼を言い店を出ていった。 「いや、これが普通だと思うんだが………?」 どうやらラナゲイルは魔王城の生活で金銭感覚も普通ではないらしい。 とにかく良いものには高く払おうとする。悪いことではないのだが幸先不安だ。 「よし、空腹は解決したし、せっかくだからガルナシティを満喫しちゃおう!」 ラナゲイルは先ほどの酒屋の前で町を回ろうと意気込み、町の中心部に向かって歩いていった。 ◇◇◇◇◇ 「はー!楽しかった~」 ラナゲイルは町にあった宿屋のベッドに横たわっていた。 今日はいろんなものを見たり買ったりして、随分と楽しんでいた様子だ。 買ったものをベッドの上でゴロゴロ転がりながら見ていると、突然動きをピタッと止めた。 「そういえば町の人達が言ってたけど………明日の早朝に絶品スイーツの店が来るって言ってたよね……」 ラナゲイルは今日町を歩いていて小耳にはさんだことを思い出した。噂によると明日の早朝限定で現れるスイーツ店があるらしい。 「ふふふ、せっかくこの町に来たんだから、行かないなんてもったいないよね!」 ラナゲイルはニヤニヤと笑い、明日のために早く寝ようと考えた。 この町の宿屋は特別料金が高いわけではないが、魔王城での生活は常に監視されているような心地がした。 それがないだけでも随分と楽だ。 そんなことを考えていたら、ふかふかのベッドに体が沈み込み、ラナゲイルはいつの間にか深い眠りについていた。
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