魔王専属秘書はやり直したい

4/21
前へ
/21ページ
次へ
翌日。 ジジジジジッ、ジジジジジッ 「ん……………」 昨日設定したいた時計のアラームが部屋中に大きな音で響き渡り、ラナゲイルは重いまぶたをゆっくりと開けた。 「………今、何時だろう。」 ラナゲイルはむくっと体を起き上がらせた瞬間にスイーツ店のことを思い出し、時計に手を伸ばした。 9時。 「…………………あ、あれ?」 全然早朝ではなかった。 久しぶりのベッドでの睡眠がよほど良かったのだろう。朝の6時に起きるはずが、3時間もオーバーしてしまった。 ラナゲイルは慌ててベッドから飛び起き、ショルダーを下げて部屋から出た。 まだこの宿屋には泊まるので、そんなに準備はせずに行った。 ラナゲイルは町の門の外に出て、辺りを見回してみた。確かこの辺にあると聞いたが。 普通に盗み聞きしたことだったので、正確に場所は把握していないのだ。 「………あっ!もしかして、あれ?」 ラナゲイルが見た方向には、普通の店に比べたら結構小さい、キッチンカーのようなものが門を出てすぐ横にあった。 人はあまりいなかったが、間違いなくあの店で合っているだろう。覆っている綺麗な桃色の屋根がとても似合っている。 ラナゲイルは駆け寄り、店のショーケースを覗いた。すると、とても美味しそうなスイーツが目に飛び込んできた。 真っ赤な苺がのったケーキや、まろやかそうなクリームがたっぷりのったモンブランなど、見ただけでもよだれが出てきそうだ。 「ほわぁぁ~………お、おいしそう……」 目をキラキラと輝かせながらラナゲイルは残り少なかったスイーツを購入した。 9時になってもたまたま残っていたので良かったが、結構ギリギリだったそうな。 「はー、なんとか間に合ってたみたいで良かった~………………って、ん?」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加