魔王専属秘書はやり直したい

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スイーツを買えてほくほくしていたラナゲイルの耳に、何かが聞こえた。 悲鳴のようなもの。 小さすぎて周りの人には聞こえていないようだったが、視覚、聴覚、嗅覚が人より優れているラナゲイルにはかすかに聞こえた。 ───────魔物の気配がする。 これでも一応元魔王専属秘書。 距離が離れていても感知出来るものは出来るのだ。 「エクル、悲鳴の方向を偵察しなさい」 さっきの笑顔はどこに行ったのか、魔王専属秘書に戻ったかのような無表情になっていた。 そしてラナゲイルの魔法で出てきたのはエクルと呼ばれた漆黒のコウモリ。 彼女のつがいのようだ。ラナゲイルが指示すると素早く悲鳴が聞こえた方向に飛んでいった。 「あれは………ゴブリンの群れ?」 ラナゲイルはエクルと視覚を共有して様子を確認したようだ。 エクルの視界には薄汚い布をポンチョのようにして羽織っているゴブリンの群れがいた。 ラナゲイルは早急に理解する。 ラナゲイルがガルナシティに来る前、あの薄汚い布を羽織ったゴブリンの集落を見かけたのだ。きっとその群れの一つが集落から出てきたのだろう。 そしてゴブリンの群れの横には、3人の人がいた。どうも焦っている様子だ。 ゴブリンは今からあの3人を襲うことを企てているのだろう。持っている硬そうな金棒をブンブンと振り回している。 まぁあの程度のゴブリンだったら気にすることはない。助ける必要もない。 ラナゲイルはゴブリン達を強い魔物と認識していないらしく、3人の助太刀には入ろうとしなかった。 きびすを返し、町に戻ろうとした所で、いきなりラナゲイルはハッとする。
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