魔王専属秘書はやり直したい

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「ラナ……素敵な名前ねっ!」 アズがにこっとそう言った後に「ラナ、ラナ……」と普通に覚えようとしていることに不安しかない。 「それじゃ、私はこの辺で………」 とにかくこの場から逃げ出したい衝動に駆られ、ダッシュでその場を後にした。 ◇◇◇◇◇ 「ねぇねぇ、ラナ。ここのお肉が凄く美味しくてねぇ…………」 「いーや、ここはやっぱデザートだろ。特に………」 「へぇえ、どっちも食べてみた…………って、違う!!」 ラナが3人から離れた後酒屋の近くのベンチで一休みしていると、いつの間にかアズ達が現れその酒屋の美味しい料理について語っていた。 ラナは声を上げながら立ち上がり、アズ達をバッと見る。 「何でついてきてるんです!?私はパーティーに入るつもりはないと………!」 「いやいや、返事はゆっくりでいいよ、まぁ世間話でもしよ?」 全くこちらの話を聞いていない。 たがラナもラナでやることがあるわけでもないので仕方なく付き合うことにした。 はぁとため息をつきながら、ベンチに再び腰を下ろした。 「んで、お前は何でここに来たんだ?元々住んでたのか?」 今まであまり口を開かなかったクルクスがジュースを飲みながらラナに問いかける。 勿論魔王軍から逃れるためなど言えるわけがない。 またまたその場しのぎで適当に言った。 「えっと、実は………私の母国は隣の国で、訳あってこのラリエット王国に長い期間滞在してたんです。でも、そろそろ帰らないとなぁとか考えてて、ガルナシティにはその準備をするために来たんです。いるのはほんの1ヶ月くらいですよ。」 ほとんど大嘘。ラナの母国はここラリエット王国であるし、なんならラリエット王国から出たことは一度もない。 ラナは適当に言ったとはいえ少し後悔した。 でもこの国を出るための準備をするためなのは本当だ。まぁ2週間くらいは観光の予定だが。 「へぇ~、そうだったんスね。」 「あっ…………じゃあ、2週間ぐらいは余裕ある感じ?」 ソーヤが頷いた後、思考を読まれたかのようにアズが聞いてきた。  ………何故こんなに勘がいいのだろう。 「ま、まぁ………そうですけど」 「………!じゃあ、2週間だけでも付き合ってほしいんだよぉ!お願い!魔法使いがいる楽しさを少しでも味わってみたいの!」 どれだけ自分を勧誘したいのだろう。 アズ達は懲りずにその話を持ちかけてくる。 ………だが、ラナは態度とは裏腹に次第に興味を示していた。 ラナだってパーティーには憧れたものだ。 魔王軍は協力して活動するような平和なものではなかったし、こがれるのも無理はない。 さすがにずっとは無理だが、少しぐらいなら…………。 思わずラナの心は、動いてしまった。 「じゃ、じゃあ、2週間だけ………」 ラナは頷いていた。 それを聞いた瞬間、3人がパッとこちらを見る。 「えぇっ!本当!?ありがとぉぉ!」 「俺嬉しいッス!」 「……………そうか、ならいい」 次々にラナに向けて喜びの言葉を言う。 それじゃあと、ソーヤが何かを思い付く。
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