魔王専属秘書はやり直したい

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「これから魔物狩りに行かないっスか?」 「魔物………狩り?」 魔物狩り。冒険者にとっては究極のレベル上げ戦法。方法は簡単。名の通りただひたすら魔物を狩るだけ。 これが意外とレベルが上がるそうだ。 レベルは上がると覚えられる魔法の数や威力を増やせるので重要だそうだ。 「そーそー!折角だからラナの魔法もちゃんと見てみたいし!行こうよ!」 アズが後ろからずいっと身を乗り出してそう言った。皆がそう言っているし、行ってみてもいいか。 「私………普通の魔物とか倒したことないから、サポートしてくれるならいいけど……」 「もっちろん~!」 ラナの了承と共に、酒屋で昼食をとって町の近くの平原へ向かった。 ◇◇◇◇◇ 「ああっ!ラナァ!そっちに数体逃した~!お願いぃ~!」 平原にて。 何故かいつもより平原に弱めの魔物が集まっていた。レベル上げには凄くちょうどいいが、何より数が多い。理由は分からないが。 アズ、クルクス、ソーヤの3人がまず魔物を狩っていき、ラナはもう少し後から参戦するつもりだったのだが、あまりの多さに元々攻撃を得意としていないアズが数体逃してしまったようだ。 アズは物理攻撃として杖をブンブン振り回しながら、慌てた顔でラナに呼びかけた。 「えっ………と、とりあえず真っ向勝負!」 あまり魔物狩りに慣れていないラナはこちらに全速力で迫ってくる魔物に向けて、とりあえず適当に攻撃しとこうと思った。 魔物達がラナの腹当たりに攻撃を仕掛けようとした、瞬間。 ザンッッ 一瞬だけ鋭い音が辺りに響いた。 ラナは、さっき立っていた位置から少し離れた場所にいた。 すると次の瞬間、ラナ達が相手をしていた魔物達が全員バタバタと倒れていく。 どうやらラナはこの一瞬で全ての魔物を切り裂いたようだ。 ラナは自身の手にかすかに宿っているバチバチとしたエネルギーをスッと消す。 まるでラナの時間だけが速くなったような迅速の攻撃。 あ、勢いつけすぎた…………… ラナは昔から魔王と訓練してきた身。 これくらいの魔物全員倒すことくらい造作もないのだ。
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