【4P】扉

2/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
* (……ん?) 僕は電話の着信音で目を覚ました。 時計は、9時を少し回ってた。 (や、やばい!) スマホに表示されてるのは、バイト仲間の三島の名前。 「は、はい!」 「中村、何やってんだよ。」 「ご、ごめん…寝坊した…」 「課長、カンカンだぞ! すぐに来いよ!」 (課長…?) 「課長って…?」 「何言ってんだよ、課長って言ったら矢部課長に決まってんだろ?」 (矢部課長…?) そんな人、知らない。 僕には意味が分からなかった。 「えっと…三島… 僕、矢部課長なんて知らないけど… とにかく、店には今から行くから。」 「店…? 店って何のことだ?」 「三島、寝ぼけてんのか? 店って言ったら、ローポンに決まってんだろ。」 「ローポンだって? コンビニに何の用があるんだ?」 何かがおかしい… 「また、電話するわ。」 僕は電話を切ると、急いで身支度を済ませ、ローポンに向かった。 * 「君…ふざけるのはやめたまえ。 さ、用がないなら帰った、帰った。」 「え…?」 ローポンに行った僕は、なぜだか追い返されてしまった。 どうしてだ? 僕は昨日までの約一年間、この店で働いてたのに… オーナーの杉本さんは、良く知った人だ。 それなのに、まるで僕のことなんて知らないみたいな目をしてた。 そもそも、冗談を言うような人でもない。 「あ…三島! バイトの三島はいますか!?」 「うちには三島なんてバイトはいないよ。」 三島もいない。 でも、僕はさっき三島と話した。 そうだ…三島自体がいなくなったわけじゃない。 (どういうことだ…!?) 混乱した僕は、とにかく家に戻ることしか思いつかなかった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!