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(……ん?)
僕は電話の着信音で目を覚ました。
時計は、9時を少し回ってた。
(や、やばい!)
スマホに表示されてるのは、バイト仲間の三島の名前。
「は、はい!」
「中村、何やってんだよ。」
「ご、ごめん…寝坊した…」
「課長、カンカンだぞ!
すぐに来いよ!」
(課長…?)
「課長って…?」
「何言ってんだよ、課長って言ったら矢部課長に決まってんだろ?」
(矢部課長…?)
そんな人、知らない。
僕には意味が分からなかった。
「えっと…三島…
僕、矢部課長なんて知らないけど…
とにかく、店には今から行くから。」
「店…?
店って何のことだ?」
「三島、寝ぼけてんのか?
店って言ったら、ローポンに決まってんだろ。」
「ローポンだって?
コンビニに何の用があるんだ?」
何かがおかしい…
「また、電話するわ。」
僕は電話を切ると、急いで身支度を済ませ、ローポンに向かった。
*
「君…ふざけるのはやめたまえ。
さ、用がないなら帰った、帰った。」
「え…?」
ローポンに行った僕は、なぜだか追い返されてしまった。
どうしてだ?
僕は昨日までの約一年間、この店で働いてたのに…
オーナーの杉本さんは、良く知った人だ。
それなのに、まるで僕のことなんて知らないみたいな目をしてた。
そもそも、冗談を言うような人でもない。
「あ…三島!
バイトの三島はいますか!?」
「うちには三島なんてバイトはいないよ。」
三島もいない。
でも、僕はさっき三島と話した。
そうだ…三島自体がいなくなったわけじゃない。
(どういうことだ…!?)
混乱した僕は、とにかく家に戻ることしか思いつかなかった。
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