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〈少年編〉第1話 炎の証、愛の棘
ここは白虎の国の王宮。
白伏龍はいつものように母上に伝説の話をせがんでいた。
「母上!明日は王位継承儀式の日、今日もまた伝説の武器の話を聞かせてください!」
「ええ、いいわ。それにしても、明日は楽しみね」
この世界には武器に関する伝説が数多く残っている。
天地を裂いた巨人の剣、千年生きる悪虫を屠った槍、九つの太陽を射る神の弓、空より飛来した大岩を防いだ盾。このように実在する武器だけでも語りきれないほどの数があり、架空の伝承まで入れたらそれこそ語るのに人生が短すぎるほど。
「母上、この武器の使い手はだれ?」
「わからないわ…重要なのは武器、人は所詮いつか忘れられる。だから「使い手」なんかではなく、武器の伝説の「運び手」にすぎないの」
明日で十歳になる伏龍もまた伝説の運び手になる。
……はずだった。
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