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白虎の国には王位継承の儀式が存在する。
王族の血筋を引く者であれば何の難しいことのない儀式。十歳になった継承者が白虎剣を鞘から抜くだけ。
そう、ただそれだけ。
たったそれだけのことが……いいえ、伏龍にそれだけはできなかった。
国王である父とその全ての臣下が見届ける中、伏龍は予定通り祭壇に上がり神聖なる白虎剣を手にした。
しかし、剣を触った途端に伏龍の右手は燃え出してしまい、結果大火傷という結果になってしまった。
王位継承儀式を境に、王宮内だけでなく国民にまで混乱が広がってしまった。
病弱な王子は白虎剣を抜くことで強靭な肉体を手に入れるはずが、まさか抜くどころか触れることすら叶わないとは全くの予想外。
外敵から国を守る責任を果たすため、王は不本意ながら新たな妻を迎えて新しい王位継承者を作らなければいけなくなった。
その後伏龍は他の武器で何度試しても結果は同じ、毎回ヤケドをしておしまい。
発火現象を目撃した臣下たちはこの呪いを炎棘と呼び、伏龍に対して冷たい対応を取るようになってしまった。
何故このような呪いを保有しているのだろうか、疑問に思った伏龍はある夢を思い出した。
正確には夢と思い込んでる記憶である。現実離れした内容だったので、少年の伏龍は本当にあった出来事かどうか判断がつかなかったのだ。
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