第1話 トルジカの魔女……?

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 開店したばかりの店先はとても静か。  今日は陽が射して暖かいし、丘陵から吹き抜ける風も穏やかで気持ちがいい。  こんな日はスークスの昼寝がとっても捗りそう。 「テンガン眠る、谷の城。金銀財貨の墓場となりて……」  旅芸人が歌っていた曲を口ずさみながら、リズムに合わせて手を動かす。  歌を歌いながら旅ができるくらい、このテンガン領も平和になったということ。  隙間風が入る作業部屋には、外で遊ぶ子どもたちの笑い声も届く。  今日はなんだか良い日になりそう。そう思っていた矢先だった。 「ここにある薬、全て売ってくれ!」  どこぞの世間知らずの声が、店先から聞こえてきたのは。  薬の在庫を全部売り払ったら有事の時はどうすればいのよ、全く。 1c338855-d17f-43a6-b1c8-24ea6a6b3370  私はお気に入りのを手に取り、店先へ勢いよく飛び出した。
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