11人が本棚に入れています
本棚に追加
息子は成長し、いつしか父と同じくらい背が高くなった。
ある日、母親が寝込んでしまい、息子にステラの散歩を頼んだ。
息子がステラと散歩するのは、久しぶりだった。
ステラは毛が抜けやすい犬種だったから、息子は自分の服を着たくなかった。
クローゼットを引っ掻き回して、古いツイードのジャケットを探し出した。
袖を通してみると、ぴったりだった。
さあ、散歩に行こう!
声変わりした息子の声は、父親そっくりだった。
玄関にうずくまっていたステラの耳が、ピンと伸びた。
首を伸ばせるだけ伸ばして、鼻をピクピク動かした。
マズルに並んだ星が踊った。
息子が抱きあげると、ステラはジャケットに鼻を擦り寄せて、匂いをクンクンと嗅いだ。
また、会えたね!
ステラの尻尾が揺れた。
〜終わり〜
2017年5月1日 星になったステラに
最初のコメントを投稿しよう!