1人が本棚に入れています
本棚に追加
お姉さん
その人と初めて会ったのは、
児童クラブに入ったときだった。
お母さんが働いているので、学校が終わったら家へ帰らずそのまま児童館にある児童クラブへ“帰る”。
そこで、6時まで宿題をしたり遊んだりして過ごしてから家に帰るんだ。
4月になるともう保育園には行かなくなるので、4/1からはお弁当を持って児童館に行くようになった。
1日はまだ春休みだから、朝から来る子は少なかった。最初に児童館の“先生”から1年生に児童館の決まりと児童クラブの決まりのお話が少しあって、それから自由に遊び始めた。
お昼休みの前に1年生が上級生に“挨拶”する時間があって、ちょっと緊張した。名前を言って「よろしくお願いします。」っていうだけなんだけど。
上級生にひとり、少し大きいお姉さんがいた。にっこり笑って優しく
「こんにちは」って言ってくれたので、
僕も「こんにちは」って言った。
そのお姉さんは4年生だったので、毎日来るわけじゃないし、来る時間も遅かった。
でも、児童クラブに来るといつも
「ゆー君!」と声をかけてくれる。
それから、必ず「宿題終わった?」と聞くんだ。
まだ、そんなに難しい勉強じゃなかったから、自分でもできたんだけど、
お姉さんに一緒にやってもらいたくて、いつも「まだ、やってない…」っていった。すると、「じぁ、一緒に終わらせてから、遊ぼう。」って、勉強も見てくれた。
皆はお母さんが迎えに来てくれたりして早く帰ってしまう。
大体僕とお姉さんが一番最後まで児童クラブにいた。
みんなが帰ってしまうと、お姉さんに本を読んで貰った。
お姉さんはとても本を読むのが上手で声が綺麗だなと思った。
僕は、お姉さんに本を読んで貰うのが凄く楽しみだった。
児童クラブが終わると、お姉さんと手を繋いで帰った。家が同じ団地だったから、ほとんど毎日一緒に帰った。
最初のコメントを投稿しよう!