3章

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「今日は授業を教室内で見てみよーかなーって思うんだけど、無理しなくていいからねー」 「はい」 教室のなかくらい行ける…はず… え、ていうか知らない真っ黒なちょぉーとだけ、ほんとちょぉーっとだけ身長低めな男が保健室の先生と一緒に教室の後ろにいたら注目集めまくりだよね。 緊張で鼻血出ちゃうかもしれない。僕鼻血出したことないから初出しみたいなやつになるんじゃないかな… 緊張でどうでもいいこと話すのやめよ、本当にどうでもいいよね僕の鼻血の話なんて。 「到〜着〜!早速授業やってんねー!」 「も、もう、行くんですか?」 「なにー?緊張してるー?じゃあとりあえず手繋いどこー」 「ありがとう、ございます」 こないだぶりの教室たしか自分の席は分からいままだった気がする。このタイミングで確認しておこう。 「手震えてるー、怖い?」 「……ちょっとだけ…」 「もー、俺に強気になっても意味ないよー?」 「……」 僕はクラスメイトと同じ空間にいるのになれなきゃならない。 ちょっとどころじゃなく怖いと思っても慣れなきゃいけない。 きっと三津先生なら今日はやめる?とか言ってくれるけど見学期間は何日もあるわけではない。少し余裕を持ったくらいじゃないと不安だ。 いつも乗り越えてきたからきっと大丈夫。 昨日だって行けたんだし、ほんの少し難易度が上がっただげ。 「い、行きましょう」 「……今日やめにしない?」 「いえ、行きましょう」 「だめ、今日はなし。」 「え、なんで…」 「本当はすごい怖いんでしょ?手の震えて待ってないし汗もびっしょり。」 三津先生に言われてやっと自分の状態に気づいた。確かに身体中から冷や汗を感じるし、手の震えを止めようとしても止まらない。 「人間みんな怖いものは怖い。昨日頑張ったんだしさ、今日は逃げちゃお?」 「…」 「だいじょぶ、まだまだ見学残ってるから」 「……」 「帰ろ?」 「…………わかり、ました。」 乗り越えなきゃいけないし、なれなきゃいけないけど………… 今日くらい逃げてもいいか…
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