3章

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「じゃあ、帰ろっかー」 プルルルルル 「はーい、三津で〜す。……えっ、そうでしたっけー?……分かりました、急いでいきまーす。…遥くんごめーん!出張だったみたい。少し急いで戻ろっかー」 「1人で帰ります。出張急いで行ってきてください。」 「でもー「急いで行ってきてください。」……はーい。迷わないように気をつけてね?」 「はい、今日は寝坊した上になしになっちゃってすみませんでした。」 「気にしなくていいからー。じゃあ急いでいってきまーす」 そりゃ保健室の先生だもの、多忙だよね。 ちょっと前まで保健室にいるだけの先生って思ってたから意外と大変なんだって気づいた。 今回は絶対迷わない自信がどこからか湧いてくる。 うん!なんかいける気がしてきた! ・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー はい、バッチリ迷子。 僕気づいたんだよね。 迷ったときに氷室先輩が寮まで連れてってくれたけど、それって迷いこんだ森みたいなところから寮までの道であって教室から寮までの道じゃないんだよ。 つまり僕は寮に帰れないってわけさ 学園に行く時に三津先生に連れてってもらってるのになんで知らないかって? 教室行くのって緊張するじゃん。それで周りが見えてなくて全然道わかんない。だけじゃなく僕が方向音痴っていうのもある。 こればっかりは治すことなんて無理だと思うんだよ、方向音痴。だから個性だと思って鬼ポジティブに考えてる。 不便ではあるけれども。 そして僕が今いる場所は日当たりの悪い建物の裏がわみたいなかんじのところ。 いやぁ〜人影ゼロっていう結構やばい状況でありながらこんなところあったんだとか呑気に考えたりしてる。 さっきからウロウロしてるし、建物の端まで行けば建物の表側みたいなところ行ってどうにかなると思って歩くけど端がないし。 壁…登る? 端がないなら上に行っちゃうか。ちょっと出っ張ってるところがところどころあるし、僕の頭の中ではスラスラ登っていく自分の姿がイメージできている。 「よしっ!」 ・ ・ ・ 「っなんでっ!」 イメージの中の自分と現実の自分が違いすぎてショックをうける。 そりゃそうだ、運動不足だもん。 なんか…やる気が失せた。疲れた。帰りたい。帰れない。 その場にしゃがみこんで野宿の覚悟を決める。人の気配を感じないようなこんな場所で迷子になったら諦めるしかない。 「何してる」 「わぁ!」 え、何。誰…
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