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擦れる鼻の頭と、ほっぺたが冷たい。
反対に、絡ませる舌はお互いに熱かった。
絡れ合うように、抱き合ったまま後ろ歩きでベッドへと辿り着く。
いつも優しい皓が……それでも充分優しいんだけど、普段よりは圧倒的に熱っぽく
わたしのコートから順に剥ぎ取って行く。
「結……結……」
今日から始まった新しい呼び名。
その回数が、いま急激に増えて行く。
どうしたんだろう……皓じゃないみたい。
冷静にそれを感じながらも
いつもと違うその手順に翻弄されて行った。
余計なことを考える隙間が、
頭の中から徐々に追い出されてゆく。
胸の先端を転がす皓の熱い舌。鼻の頭は、まだ冷たかった。
はだけられた身体の正面。肌の上を滑らせる掌も、まだ冷たかった。
ビクン、と背筋を反らせる。
「……冷たかったね、ごめんね」
皓がすぐに気づいて、まだ衣服を纏ったままの背中側に両腕を回した。
そのままぎゅっと抱きしめられ、熱いキスが続いた。
少しずつ温まり始めた部屋の中
エアコンの音が静かになった。
お風呂のモニターが、給湯終了のメロディを奏でた。
「結……まだ寒い?」
「ううん、もう温かいよ」
「じゃあ、お風呂は後で」
艶っぽくそう言うと、ストッキングを丁寧に下ろし始めた。
もう、皓が充分に知り尽くしたそこへ、舌を這わせる。
わたしの突起を舌で弄びながら吸い上げ、指を駆使して中を摩る。
どこをどうすればどうなるか分かっているやり方で
わたしはどんどん自分が潤んでいくのを感じていた。
「……はぁっ…」
思わず吐息が漏れる。
わたしの意思とは関係なく、その部分が小刻みに動くのを感じる。
皓はそこから、目だけを向けて
わたしの表情を確認しているかのようだった。
自然に爪先に力が入っていき
腰から背中へ、背中からうなじへ
気持ちよさがジワジワと昇っていく。
お腹の奥の方と、両足の付け根に、気怠いような快感を覚え始めて
わたしはいつものように
皓の唇と舌と指先で
気持ちよさに全身を痙攣させられた。
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