Do not ask

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なんで? わたしどこが悪かった? 重い荷物をたくさん下げて、わたしの家までわざわざお土産物を届けてくれた。 お披露目してる間も、終始ご機嫌だった。 『玄米茶!』のリクエストも、 いつもの(こう)の明るく朗らかな声だった。 この、リビングのテーブルの前のこの席。 ここで、お茶を運ぶまでの間に何があった? ぐるりと周囲を見回す。 いつものわたしの部屋。 普段と何も変わらない。 混乱した頭のままに、お漬物を乗せたお皿と湯呑みを片付け始めた。 こんなに残して…。 いつも食べ残しも飲み残しもせず、綺麗に平らげる皓なのに。 急ぎの連絡でも入ったのかな? と、ふと リビングのテーブルに置きっぱなしだった自分のスマホを手に取る。 皓から何か言ってきてないかな? ……これか。 画面にポップアップされたのは、皓ではない人物からのLINEメッセージだった。 『宮崎修哉 結菜、昨日は時間つくってくれてありがとう。話せてよかった…』 途中で途切れた表示。 え、皓もしかして、これを見た? いつ来たLINE? LINEが来た時間を確認する。………ちょうど、その頃か。 その頃から皓は急にテンションが下がった。 この表示だけ見ると、まるで昨日わたしと修が逢っていたようにもとれる。 。 ダメだ、勘違いしてる、きっと。 電話をしようとしたけど、今頃はまだ電車に乗っているかもしれない。 LINEを送ろうかと思った。 でも…文字で上手く説明できる気がしなかった。 わたしは修と逢ってはいない。 でも、電話では話した。 電話の着信履歴を見せれば分かってもらえるかな。 ……修からの着信は2回。 2回目は…嘘でしょ、1時間以上も話してた。 見せるのは逆効果の気がした。 皓は帰る時『また会社でね』と言った。 明日の日曜は逢う気が無いということだ。 それも、わたしから皓に連絡することの足枷(あしかせ)になった。 月曜日。月曜になれば、直接会社で会える。 直接顔を見ながら話そう。その方がきっと伝わる。 伝わる?ほんとに? わたしに(やま)しい気持ちは、ひとつも無かった? 1時間以上も、楽しく会話しておきながら? わたしは、皓に信用される彼女でいなければならないのに。
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