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伝えたい
わたしの迂闊な言動で、周りに迷惑をかけてしまった。
佐藤さんにも宣言したし、自分でなんとかしなければ、と言う思いを強くし、
怖がって避けていたLINEを、帰りの電車の中から送ってみることにした。
『皓、お疲れ様です。ちゃんと逢って、話がしたいです』
思いがけずそれにはすぐに既読がついた。
良かった……ブロックはされてない。
わたし達、まだ修復出来るよね?
縋るような思いで、既読のついた画面を見つめる。
1分が1時間にも2時間にも感じる。
LINEの画面がスリープで消えて、わたしはため息を吐いた。
なかなか来ない返信に落胆し、スマホをバッグに仕舞った。
少しずつ育んできた関係が、この感情が、このまま無かったことになってしまうのだろうか。
暗い車窓に映ったわたしは、情けない顔をしていた。
せめて、話を聞いて欲しい。
それも無理な願いなのだろうか。
このまま無かったことに、なんて悲し過ぎる。
帰宅してベッドに入った時、
スマホの画面が光った。
来た!?飛び起きて慌てて手に取る。
皓からの返信は、冷え切ったものだった。
『結の考えてることが分からない。
嫌な話は聞きたくない』
見慣れた自分の部屋が、涙で歪んで見えた。
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