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どうして皓は、わたしに直接何も尋ねてくれないのだろう。
“嫌な話は聞きたくない”気持ちは分かる。わたしだって嫌な話はしたくない。
したくないけれど……誤解を解かなきゃ、わたし達このまま終わってしまうんだよ?
“結の考えてることが分からない”と言うのなら、聞いてよ。
わたしが考えてること、ちゃんと全部話すから。
そして頭に来たのなら、思う存分わたしを罵ればいいから。
わたしの方こそ、皓の考えてることが分からない。
ふと思い出して、背筋がゾッとした。
あの“不思議な告白”のとき、
皓は確かにこう言った。
『恋人ではないから、結菜ちゃんは他に好きな人をいつつくってもいい。そうなったら、俺は潔く離れるよ。結菜ちゃんを困らせたいわけじゃあない』
まさか皓は、
わたしから“潔く離れる”つもりでいるの?
そこまで思い至ったとき、恐怖心で身震いした。
無意識に自分の両腕を抱き締める。
胸がとても痛かった。
こうなって、自分の気持ちがハッキリと分かった。
わたしは皓と、離れたくない。
“潔く離れて”なんて欲しくない。
わたしの恋人は、修ではなく、
皓だ。
それをちゃんと伝えよう。
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