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水曜日も木曜日も個人的には逢ってもらえなかった。
理由は『忙しい』。
これまで、就業後は毎日のように2人で過ごす時間だったのだから、忙しいだけが理由ではないと分かっていたけど
皓が落ち着いて話を聞いてくれるようになるまで、待つつもりだった。
でも明日を逃すと、週末だ。1人で悶々と土日を過ごすことに、耐えられるか自信がなかった。
木曜日、また修から電話がかかってきた。
わたしは出なかった。
その代わりに、LINEを返した。
『ごめんね。仕事の相談は、西野課長にして下さい。修には今まで、たくさん相談にも乗ってもらったし、愚痴も聞いてもらったのに、返せなくてごめんなさい』
その後、もう一度修から着信があったが、
やはりわたしは電話には出なかった。
同じ日に、美奈ちゃんからも電話があった。
佐藤さんから何かを聞いたのかと思うと、出るのが憂鬱だったけど、
きっと心配をかけているのだろうと、すすまない気持ちのままに受話器のボタンを押した。
「結菜さん……大丈夫ですか?」
うん、聞いてるな、これは。
「まぁ……今は…まだ話聞いてもらえてない。けど、週末このまんまなのも嫌だから…明日にでも話せれば話したい、とは思ってる」
「……きっと大丈夫ですよ。伊佐さん、あんなに結菜さんのこと大好きだったんだから」
「……そうだといいけどね。話してみないと分かんない。信じてもらえるかどうかも分からないし」
「信じてもらえるまで、話せばいいじゃないですか!」
わたしだってそうしたい。
「うん…、頑張る、ね」
わたしの声に力が入らなかったことは、きっと美奈ちゃんも感じ取っただろう。
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