伝えたい

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金曜日。 帰りかける(こう)の腕を、咄嗟に掴んだ。 まずいまずい。ここはまだ企画営業部のフロア。 「伊佐さん、ちょっと…」 逃げられてしまいそうな気がして、腕を掴んだまま廊下に出た。 「お願い。このまま週末を迎えるなんてムリ。2人で話したい。聞いて欲しい」 懇願(こんがん)するような言い方になってしまった。 「………うん、分かった」 つらそうな笑顔に気が引けたけど、とりあえずやっと了承を貰えた。 どういう話し合いになるかは分からないけど わたしのしたこと、思ってることを 皓に伝えたかった。 わたしは、皓のことを恋人だと思ってるんだよ。 他に好きな人なんて、つくらないんだよ。 わたしが今、皓に一番伝えたいこと。 それは、わたしが今も、これからも、 一緒にいたいのは皓なのだ、ということだ。 皓1人なのだ。
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