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驚きの告白
いつものように席を取るように言われ、4人掛けのテーブルについた。
目の前に、2つのカフェオレと、2つのブラックコーヒーが置かれる。
なんでカフェオレ2つよ。
驚いて目を上げると、「隣のレジで同じ物買ってた」と修が苦笑した。
修がわたしの目の前に座り、皓を「そちらへ…」と、わたしの隣の席に促した。
「まずは」と、修が口火を切る。
「まずは、謝罪です。俺は、以前森田さんと一緒に働いていた宮崎修哉といいます。
伊佐さんに、不快な思いをさせてしまったことを謝ります」
テーブルにつくほどに頭を下げた。
「でも多分、誤解されてると思います。先週…伊佐さんがご出張の日に、俺はゆ…森田さんと逢ってはいません。電話をかけましたが、逢うのは断られました」
ずっと黙っている皓が、少しビクッと揺れたようで
思わず顔を見た。
皓も少し不思議そうにわたしの顔を見ていた。
「仕事の相談があったので、電話で話をさせて貰いました。そのお礼を、翌日LINEで送りました。森田さんから彼氏ができたと聞いていたのに、LINE上で呼び捨てで呼びかけてしまったのは軽率でした。本当にすみません」
もう一度深々と頭を下げる修。
これは佐藤さんから美奈ちゃんに話が行って、
美奈ちゃんから修へ…と言う流れだろう。
修が知るはずのない内容がどんどん修の口から紡がれる。
「昨日、この話の謝罪をしようと森田さんに電話しましたが、出てはもらえませんでした。なので今日、待ち伏せのような形になってしまったことも、重ねてお詫びします」
真摯な修の姿勢に、皓の雰囲気も少し柔らかくなったように感じる。
「いえ、俺も大人気無かったので…結、誤解で辛い思いさせてごめんね。ちゃんと聞けば良かったね。
宮崎さんも、わざわざご足労いただいて…逆に申し訳ない」
皓も頭を下げる。わたしも慌てて頭を下げた。
「状況もわかりましたので、ここはこれで…
ありがとうございました。結、行こう」
席を立つ皓を見て、わたしも立ち上がる。
「もうちょっと、聞いてもらえませんか」
と、修がわたし達を見上げて言った。
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