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人の少ない、会場の隅っこでのプロポーズにも関わらず、その瞬間を写真に収めてくれた人がいた。
ガーデンウェディングに、美奈ちゃん側の招待客として出席していた修だった。
美奈ちゃんを通して「幸せになれよ」と書かれたメッセージカードと共に渡されたその写真は
今、リビングボードの上のわたし達の結婚式の写真の隣に並んで飾られている。
修が撮った写真であることを、わたしの旦那様も勿論承知の上だ。
「あの瞬間を切り取っていてくれたなんて、嬉しいね。感謝だよ」
と、フォトフレームに入れて飾ってくれたのも旦那様だ。
カフェオレを飲みながらそれらを眺めるのが、今のわたしの至福の時だ。
「結、これどっちが幸せだった?プロポーズと、結婚式」
旦那様になった皓が、2枚の写真を見比べながら聞く。
「どっちも幸せだった!…ううん、」
「なに?」
「わたしは、ずーーっと幸せ!」
そう言って、ソファの隣に座る皓に抱きついて、頬をすりすりする。
「ふっ。それは最高〜」
と言いながら、コーヒーのカップを置いて抱きしめ返し、優しく髪を撫でてくれる。
穏やかな日常。
穏やかな2人の時間。
壁には、あの日撮った柊の花の写真が飾られている。
花言葉は、
【あなたを守ります】
【信用深さ】
わたしの幸せの着地点は
皓の隣だった。
Fin.
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