112人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
「だから……」
少し言いにくそうに、美奈ちゃんが続ける。
「宮崎さんと笠間さんが仲良くなった頃、『え!?』って。結菜さんは見るからにどんどん痩せて行くし。心配だったけど突っ込んで聞けないし。そしたら急な転職でしょ??大丈夫かなぁ〜って、ずっと……」
「………はは」
乾いた笑いでしか返事ができなかった。
バレバレだった上に、ここまで心配をかけていたとは。
確かにわたし、修と別れてから4キロぐらい痩せた。
美奈ちゃんは、眉を下げたままわたしをじっと見つめていた。
わたしの口から告げられる真実を待っているのか。
「……まぁさ、お察しの通り、付き合ってたよね。バラしちゃうけど(笑)言わないでよね、誰にも。
わたしはずっと好きなまんまだったけど、向こうの気持ちが離れちゃったんだから仕方ない…でもね、転職した理由は別れたことじゃないよ。それとこれとは話しが別。」
「それは分かってますよ」
美奈ちゃんは、わたしを安心させる為か、にっこりと微笑んだ。
その後また真面目な顔に戻り、
「でもね、宮崎さんの気持ちが、結菜さんから離れた?っていうのはどうなのかな…って思ってます。
……あの頃、宮崎さんが山田課長とやり合ったの知ってます??」
え?初耳。
販促課の山田課長は、仕事は出来るけど少し言葉遣いや部下の使い方に難のある人。
「やり合った、って?」
「みんな我慢して、山田課長には口ごたえしなかったじゃないですか、余計めんどくさいことになるから。だけど、宮崎さんがアシスタントの子を庇って、言い返したんですよね」
「…アシスタントの子って、笠間さん?」
「や、違くて。全然別の子です。富澤さん」
「そうだったんだ…」
聞いてなかった。
そんなことがあったのに、わたしには何も言ってくれなかったのか。
修は、愚痴でもなんでもよく話してくれていたのに。
やっぱり、気持ちが離れてたんじゃないのかな。
「その時ね、落ち込む宮崎さんを、一生懸命励ましてたのが笠間さんだそうです」
………そう。
そういうこと……。
最初のコメントを投稿しよう!