初夏

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「だから……」 少し言いにくそうに、美奈ちゃんが続ける。 「宮崎さんと笠間さんが仲良くなった頃、『え!?』って。結菜さんは見るからにどんどん痩せて行くし。心配だったけど突っ込んで聞けないし。そしたら急な転職でしょ??大丈夫かなぁ〜って、ずっと……」 「………はは」 乾いた笑いでしか返事ができなかった。 バレバレだった上に、ここまで心配をかけていたとは。 確かにわたし、修と別れてから4キロぐらい痩せた。 美奈ちゃんは、眉を下げたままわたしをじっと見つめていた。 わたしの口から告げられる真実を待っているのか。 「……まぁさ、お察しの通り、付き合ってたよね。バラしちゃうけど(笑)言わないでよね、誰にも。 わたしはずっと好きなまんまだったけど、向こうの気持ちが離れちゃったんだから仕方ない…でもね、転職した理由は別れたことじゃないよ。それとこれとは話しが別。」 「それは分かってますよ」 美奈ちゃんは、わたしを安心させる為か、にっこりと微笑んだ。 その後また真面目な顔に戻り、 「でもね、宮崎さんの気持ちが、結菜さんから離れた?っていうのはどうなのかな…って思ってます。 ……あの頃、宮崎さんが山田課長とやり合ったの知ってます??」 え?初耳。 販促課の山田課長は、仕事は出来るけど少し言葉遣いや部下の使い方に難のある人。 「やり合った、って?」 「みんな我慢して、山田課長には口ごたえしなかったじゃないですか、余計めんどくさいことになるから。だけど、宮崎さんがアシスタントの子を庇って、言い返したんですよね」 「…アシスタントの子って、笠間さん?」 「や、違くて。全然別の子です。富澤さん」 「そうだったんだ…」 聞いてなかった。 そんなことがあったのに、わたしには何も言ってくれなかったのか。 修は、愚痴でもなんでもよく話してくれていたのに。 やっぱり、気持ちが離れてたんじゃないのかな。 「その時ね、落ち込む宮崎さんを、一生懸命励ましてたのが笠間さんだそうです」 ………そう。 そういうこと……。
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