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お酒がすすんで、先輩社員の久保田さんが愚痴を言い始めた。珍しい。
高校生の息子さんが、彼女さんを自宅に泊めることに悩んでいるらしい。
ほぅ、最近よく聞くけど、本当に身近にあるんだな、と思い話を聞いていた。
「わたしはそういうのってね、良くないと思うのよ!でも旦那もなんにも言わないし、息子も悪びれないし…。っていうかさ、その女も神経おかしくない??」
相当飲んでしまったのだろう、口調もキツくなっている。久保田さんは普段、おおらかなお母さんといったイメージだったので、若干驚く。
大まかなところでは、わたしも久保田さんと同意見だ。
高校生のうちに、親と同居の自宅に、異性を泊めるべきではないと思う。
同居じゃなきゃいいのか?というと、そういう話しでもないのだけれど…。
「なんかもうほんっと頭きた…彼女に電話する!」
エキサイトしてきたらしい久保田さんが、スマホを取り出した。
えぇっ、それはちょっと待った方が……
言うにしてもまず息子さんと話し合った方がいいと思うし、酔った勢いでする話しではないと思う。
それに、今は職場の飲み会…空気が壊れる。
周りの人たちも、オロオロとし始めた。
あれ?気づくと伊佐さんがいつの間にか久保田さんの隣に座っていた。
さっきまでその席にいた佐藤さんは、ジョッキを片手にわたしの目の前の席の椅子を引いている。
驚くわたしと目が合った佐藤さんが、『伊佐に任せときゃ平気』と小声で呟き、わたしに笑顔で小さく頷いた。
伊佐さんも結構飲んでると思うけど……ほんとに大丈夫なの??
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