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こんなことないですか? 別に好きでもなんでもなくて、特に興味のなかった芸能人が 突如なんの脈絡もなく夢に出てきてから、急に気になってしまうことって。 好きでもなんでもなくて、特に興味がなくてもそうなんだから 夢に出てきた修の威力ときたら、絶大だった。 忘れよう、忘れようとしてて 転職もしたし顔を見ることもないし SNSもフォローを外した。 LINEのトーク一覧だって、もうずっとずっと下までスクロールしなければ修の名前はない。 最近は仕事の忙しさや充実感も手伝って 前よりは思い出さなくなっていたのに 人の深層心理とは、恐ろしいものだ。 ふとした瞬間に思い出す、あの温もり、あの笑顔。 罪作りな夢が、また思い出す頻度を上げてしまった。 幸せだった頃の記憶が、わたしを悩ませる。 今はもう、とっくの昔に他の人のものだと 頭では理解しているのに。 少しずつ色づき始めた街路樹を見ても、修を想う。 一緒に出かけた先で見たね、紅葉も。 美味しい鰻を食べたり、インテリアショップをひやかしたり、流れる滝を眺めたり、2人漕ぎのレンタサイクルなんて、初めて乗った。 海も、星空も、月も一緒に見た。湖にも行った。 四季折々の花も見に行った。 桜、チューリップ、ネモフィラ、水仙、つつじ、ひまわり、、、、 右耳と肩の温もりも、圧倒的な現実感を持って わたしに訴えかけてくる。 センチメンタルな、秋。
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