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「おはようございまーす!」
何度かの飲み会を重ね、段々と気安く話せるようになってきた企画営業部の同僚たちに朝の挨拶をする。
まだ全員揃ってはいなかった。
「おはようございます」
前の席に座る伊佐さんが、にっこりと挨拶を返してくれた。
「今日、」
伊佐さんが何か話し始めようとしたタイミングで、LINEの通知音が鳴った。
まだ就業時間前だ。
「あ、ちょっとすみません」
と伊佐さんに断りを入れ、スマホを確認した。
椅子を引いて腰掛けようとしていたわたしは、中腰のまま動きが止まってしまった。
「お誕生日おめでとうございます。この1年が、森田さんにとって幸せな1年でありますように」
………修。
ほんっとに、こういうとこ。こういうとこだよ、修は……。
トーク一覧を開いて、一番上に修のアイコンを発見した時には、
ぶわっと全身の体温が上がった気がした。
本音を包み隠さず言うならば、“嬉しい”の一言に尽きる。
誕生日を覚えていてくれたことも、朝が弱い修が出勤前の慌ただしい時間にLINEを送ってくれたことも。
その時のわたしは、どんな表情をしていたのだろう。
わたし自身にはわからないけど、話しが途中だった伊佐さんは、それきり黙ってしまった。
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